では「平気で嘘を付く」失言連発の安倍内閣について。 金子教授は橋本治氏が、世の中が右傾化というより馬鹿になってきている、といったという発言に注目。一番しっくりくる、共感できるということ。 一種の「下降史観」で、そのような言われ方で昔からある考え方なんですけどね。 仏教の末法思想も一種の下降史観で、だんだん人も世の中も劣化して来る、という考えの元、末法というカテゴリーがあるということです。 インドの「ヴェーダ」も顕著な下降史観でそういうのの影響が末法思想にはあるのかもしれない。 ギリシア神話の「5つの時代」もそうですよね。 インド神話の影響があるのか、どちらが先なのか、もしくは独立的なのか。 近世以前の日本は下降史観が標準なところがあって、そういう考えは「守貞謾稿」の序文などにみられます。 昔の人は普通にしていて犯罪などしなかったのに、だんだん人が悪くなってきて宗教的な教えが無いと犯罪を犯すようなった、と考えていたらしい。 白川静さんなども、それの影響もあったのか、資料を読み解いた判断でしょうけど、それに近い考え方を持っていて、これも一種の下降史観。特に近年は酷いと亡くなられる前の頃には仰っていましたね。 江戸時代の本を読んでいると、人物そのものから美術品や工芸なども含めて総合的に江戸時代の人は昔の人と比べると大したことが無いと自分たちで思っていたらしい。 (昔の人よりずっと自分たちはえらいと思っているのは、明治人以降くらいだったと思います。 しかも文化を放棄したそこが、極端なほどに一番劣化が激しい。 今日BSで河鍋暁斎が、書画会で鼻が天狗になった明治人を描いた絵が紹介されていましたけど、暁斎にはそんな空疎で高慢な明治人の本質が観えていたのかもしれません。) 正しく読み込んだ場合ですが、司馬遼太郎さんの史観も下降史観で、特に近代を射程に入れた下降史観として注目できるでしょう。 武術・身体論の関係からも下降しているのではないかという指摘がある。こちらは昔と比べると人材が減りましたしね。 そういう物を総合して私も現代に警鐘を鳴らしているんですが、どうも表立った反響はない。 そういった動きを敏感に捉えられて橋本さんは発言しているのでしょうけど、橋本さんが言うとこうやって大きく取り上げられる、というのがちょっと不公平だなぁという感じはしますね。 |
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